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平尾 順

認知症と脳神経外科との関わり方

「お財布どこにおいたかしら?」「家の鍵かけたかしら?」なんてことがありませんか? こういう症状で、脳神経外科を受診される方がいらっしゃいます。認知症を心配されているのだと思いますが、これは認知症なのでしょうか?

 認知症とは、一度正常に発達した知的機能が、後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活に支障をきたす状態です。文頭のようなケースが認知症ならば、40歳以上の方のほとんどは認知症の診断になってしまいます。まず、認知症とは何かを知ることが大切です。説明を進めていき、脳神経外科医が関与できることをお話ししたいと思います。

 老年期に痴呆をきたす疾患には、アルツハイマー型痴呆を代表する脳の変性疾患以外に、感染性疾患、脳血管性疾患、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫といった脳神経外科で治療可能な疾患、内科疾患、薬の副作用によるものなどがあります。

 認知症専門の医師とは異なり脳神経外科医は、変性疾患以外の病気を否定する所から診断にたどり着いていくのです。除外される病気は、手術で治療可能な疾患が含まれています。さらに、MRIなどの画像診断や神経心理検査によって、認知症かどうかを絞り込んでいくという手法を取るのです。診断がついた時点で、アルツハイマー型痴呆に対して、唯一認可されている薬物:塩酸ドネペジル(アリセプト)の投与を開始します。

 診察→診断→治療とつなげることで、患者様本人だけでなく、ご家族の負担を減らすことができるのではないかと考えます。進行性の疾患ですので、完全に治癒させることは不可能です。治療をしても、徐々に進行していくことは避けられません。しかし、進行を遅らせ将来の方向性を知ることは、ご本人だけでなく、ご家族に“心の準備をする時間”をご提供できると考えています。ご心配な方は、一度脳神経外科を受診してみて下さい。