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平尾 順

女性と片頭痛

 疫学研究によると、わが国の片頭痛の有病率は約8%です。思春期を迎える迄は男女差はないのですが、思春期以降は、男性での有病率が4%に対して、女性は13%と男性の約4倍もの有病率となります。生理前後の女性ホルモン(エストロゲン)の急激な変化が、片頭痛に関与しているとされています。これを月経時片頭痛といいます。
 脳幹部におけるセロトニン受容体の近傍に、約7割のエストロゲン受容体が存在していることが知られています。しかし、脳においてセロトニンとエストロゲンがどのように連動しているのかは、まだ解明されていません。したがって片頭痛の治療におけるエストロゲン補充治療にも賛否両論があり、一定の見解は得られていません。
 月経時片頭痛の特徴は、約70%が月経の2、3日前に出現し、月経が始まるとむしろ出現しにくくなります。少数例ですが、月経直後に片頭痛が出現することもあります。また、妊娠中には片頭痛発作の回数が減少もしくは消失することが多いのです。また更年期と言われる年齢になると、片頭痛の発作は減少します。それでも年に数回は片頭痛に特徴的な拍動性の痛みがみられることも多いのです。こういったことからも、片頭痛に女性ホルモンの変動が関与しているのは明らかと考えます。
 非ステロイド系消炎鎮痛剤のなかでもナプロキセンは、血小板からのセロトニン異常放出を抑制することにより効果を発揮すると考えられています。また、三環系抗うつ薬であるトリプタノール錠やトフラニール錠は、更年期以降の片頭痛予防に有効とされています。最近では、片頭痛の特効薬であるトリプタン製剤の有効性も認められています。こういった薬剤による治療は、突然襲ってくる片頭痛発作に対する不安感から患者さんを解放してくれます。頭痛でお悩みの方は、脳神経外科を受診してみてはいかがですか。