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平尾 順

側頭葉てんかん

 側頭葉てんかんの発作症状はきわめて特徴的です。患者さんのほとんどは、発作が起こると、動作が停止し一点を凝視します。その後、口をぺちゃぺちゃさせたり、手をもぞもぞさせたりなどの独特の動きをします。これを自動症といいます。発作中もしくは、発作の始めに異臭を感じている場合があります。しかし、患者さんはこの発作の内容を全く記憶していません。診断の際に、発作時の詳細な状況を確認することが大切ですので、発作を目撃された方からの情報がとても大切です。発作の前触れとして、こみ上げるような不快感、気が遠くなりそうな感じ、恐怖感などがあります (異臭のことだけ覚えている場合があります)。

 このような側頭葉てんかんの発作を複雑部分発作と呼びます。複雑部分発作は全身けいれん発作などと比べると、若干おとなしい感じがしますが、全般化して全身けいれんに進行していく場合があります。

 てんかんの患者さんの3割近くに、精神症状を伴うとする報告もあり、側頭葉てんかんに頻度が多いとする報告もあるようですが、一定の見解は得られていません。一部の方に、発作が近づくとイライラ感が増し、発作が生じた後は、また安定した感情に戻る傾向がある様に感じています。

 側頭葉てんかんは、上記の発作症状をお聞きするだけで、ある程度の診断が可能です。脳波や、MRI等の検査は、必要な検査ですが、あくまでも補助的検査になります。

 側頭葉てんかんに効果のある抗てんかん剤は、一部のものに限られます。てんかんの充分なコントロールができていない場合、てんかんの分類の見直しが必要であったり、薬剤の変更が必要な時もあります。また、薬剤で発作がコントロールされない難治てんかんの場合は、外科的治療を考慮する必要があります。

 心当たりのある方は脳神経外科を受診してみて下さい。