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大人のアフリカ象は、一日に100キロ以上の植物を食べ、移動しながらフンをまき散らしている。フンの中には消化されない植物のタネがたくさん混じっている。植物は象に食べられることで、たくさんの場所に子孫を残すことができる。

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森の中で赤い川を見た。植物のタンニンという成分が、川に流れ込み、太陽の光を浴びて、赤く染まったのだ。水が、たしかに地球の血液なのだと、この川を見た瞬間感じることができた。(撮影地:ベネズエラ)

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著書に『希望へ!』(大日本図書)、『破壊される大地』(岩波書店)、『観光コースでないアフリカ大陸西海岸』(高文研)、『もう、死なせない!』(フレーベル館)、『この大地に命与えられし者たちへ』(清流出版) 他多数。共著に絵本『くらやみでも へっちゃら』(大日本図書)、絵本『好きなのに』(東海教育研究所) 他多数。

『生命がめぐる星─地球─』を出版

桃井和馬(ももいかずま)さん

フォトジャーナリスト。1962年生まれ。多摩市在住。これまで140カ国を「紛争」「地球環境」などをテーマに取材・撮影し、「文明論」を展開。第32回太陽賞受賞。日本ビジュアル・ジャーナリスト協会会員。

ひたすら途上国を旅し、地球の歪みを取材

 18歳の時から20数年間に亘って140カ国余りを取材、現代文明と人間のあり方を問い続けてきたフォトジャーナリスト、桃井和馬さん。紛争と飢餓、貧困などのテーマを追い、取材はボスニア・ヘルツェゴビナ、イラク、アフガニスタン、チェルノブイリ、ルワンダなど、難問を抱えた国と地域が多い。

「民族」が原因といわれるジェノサイド(集団殺戮)が発生したルワンダへの4度目の取材は2005年4月。事件発生から12年が経っていた。民族差別はなくなり平和を保つ村。が、どの家も、なぜかドアと窓が閉められたままの日常生活があった。その現実をカメラに収め、「閉ざされた心」と言葉をそえ、「ルワンダの平和。それは今も繊細なガラス細工のようなものだ」とも書いた。(著書『この大地に命与えられし者たちへ』)

 チェルノブイリ原発事故の影響で、高濃度の残留放射能が確認されている町に、今も家族と住み続ける少女の写真がある。悲しい程深刻な人間の行為に気付かされ、わが身の無力さが刃となって心に突き刺さるような1枚の写真。桃井さんは、人間社会が抱える様々な歪みは、先進国よりも、政治や経済が不安定で混乱が続く途上国により明確に現れ、世界の片隅で生きる人々の日常のひとこまに物事の本質が見えてくる、という。

 写真と文章で表現される桃井さんのドキュメンタリーは、単なる客観的な事実報道ではない。絶望的な現場へ自ら身を置き、真正面から対峙する精神力の強靭さが、被写体をとおし読者の生命を揺さぶる。「被写体に向かう時、何を訴えているのか、何を伝えたいのかを問いかけます。戦争や紛争を起こした人間が環境を破壊し、生物たちの叫び声が聞こえてきます」桃井さんがシャッターを切る瞬間である。

妻・綾子さんとの共同制作、そして別れ

「人間は、もともと狂気を孕んだ存在だと思います。それをどうコント ロールしていくかが命題ですね。しかし同時に、人間は許し合い、愛を語る存在でもあります」その人間に、被写体からのメッセージを伝える本『生命がめぐる星ー地球ー』(フレーベル館)が発刊された。桃井さんのブログには、妻・綾子さんとの3年近くかかった制作過程が綴られている。

「動物・植物に詳しい妻と、何度も話し合いを繰り返す中で、私自身、地球的な視点を持つことができ、掲載した言葉も研ぎ澄ませることができました」その綾子さんは本の出版を前に、くも膜下出血で倒れ、5月18日に逝去した。享年41歳だった。現在桃井さんは、辛く悲しい突然の妻の死に直面しながらも、「妻との最後の10日間のドキュメンタリー」を執筆中である。

 妻・岸田綾子さんも又、フォトジャーナリストとして、虐げられるアジアの女性たちを記録し続けてきた。二人の長い話し合いの中から生まれた著書の中で、桃井さんは、地球上でもっとも優れた生き物と勝ち誇る傲慢な人間に対し、「この地球で、私たち人間の役割はいったい何だろうか?」と、問題提起をしている。

 環境破壊が引き起こす紛争はこれからも発生する可能性が高い現実がある地球。しかし、平和への道は、実はいちばん身近な自らの生命の中にある。家族を愛し、身近な人々や自然に愛情を注ぐことができれば、平和への第一歩が確実に進むと。