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旅行作家 杉田房子

上海で感じたこと

 9月に上海へ取材に行ってきました。10月になれば上海蟹のシーズンに入るし、成田空港まで行かなくても羽田から飛べるというのに、それまで待てませんでした。連載しているグラビア頁の締め切りに間に合わないからで、上海蟹には未練が残りました。

 10年ぶりの上海は中国の最大都市にふさわしく、高層ビルが林立し、「東方明珠タワー」と呼ぶアジアで最も高いと自慢のテレビ塔が一際目を引きます。近郊を含めば、2,000万人という人口の多さ。どこへ行っても人の数に圧倒され、さらに車の多さ、運転の荒っぽさ。自家用車を持つ人が増えた経済力のアップは道路の渋滞を生み、「急ぐなら地下鉄で」の合言葉は、アジアの大都市どこでも共通。私が上海空港に着いた時、出迎えのガイドは「今の時間は車だといつホテルに到着できるかわからないから、便利で早い乗り物、リニアモーターカーで行きましょう」と。最高時速431km、料金50元(約750円)、途中、地下鉄に乗り換え、キョロキョロとガイドについて地上に出たらホテルに到着。公共の乗り物は新しく便利で、第一歩から上海の生活にふれられました。

 女性の社会進出はめざましく、女性の自立は体格まで変えたようで、スラリと背も伸びファッションも立派。東京の丸の内を歩いているような錯覚さえ与えます。ガイドの一人は女性で「結婚しているが、子どもはいない」と言い、今、結婚しても仕事を続けて子どもを産みたがらない女性は多いと言います。お化粧も上手でスラリとした美人で、10年前と大きな違い。一般に生活はアップし、超高層高級マンションに住む人もあれば、まだ昔からの家の人々も。貧富の差は大きく、しばらく見なかった小銭をせびる乞食にも出会いました。

 経済発展の著しさは街全体から感じられますが、その速度と人々との差が生じてきているようで、端的に感じたのは上海料理の味が感激を与えなくなったこと。味が落ちたと感じたのは私だけではなかったようです。